粟井小に学びし子等は財産なり「ソフト」「綱引」とははばたきてゐむ

風呂に入ると脱ぎたる服が山盛りに積まれて籠より落つるもありぬ

コンバイントラクター草刈機とその音が床につけども耳に残りをり

奇しくも曾孫二人同じ日に生まれしが男の子の鼻を姉さん気取りで拭く

無事願ひ田に電柵をめぐらせど猪はさつま芋鋤く蔓は高いのに

久しぶりに曾孫きたれば玄関にそら豆の如き靴が並びぬ

暖冬で雪なく作物を案じをり降れば雪掃きに困る我なるに

落ち葉をば絨緞とも敷く参道に弘法様は一段と映ゆ

寒くなり子孫の仕事着こたつに入れしがからぶりに終る今日は休み

健やかに育ちし孫のことをあの世なる夫にもファックスにて送りてやりたし

しまひ湯に窓を開くれば月明かし山の木立を白く照らして

小雀はおそれなくして草を取るわが手の近くに首をかしげをり

長い梅雨続きて雨また雨雨に久びさにみる月大きくなりをり

今晩はと声をかくれば孫娘光る「携帯」持ちて帰り来

親の愛に飢ゑゐしパンダ人間との愛にめざめぬ言葉あらねとど

木漏れ日と草焼く煙重なりて唐草模様描きては消ゆ

皓皓としたる真夏の日の照りに洗濯物もまばゆかりけり

台風に杉の大波立つ如くガラス玉の如き雨横なぐりする

雪はきて腰をのばせば木の枝にたまりし雪は映えゐて青空

人並には出来ない腑甲斐なさ侘びをれば元気でゐてくれるだけでよいと言ふ娘

嫁ぎゆく孫娘なりアルバムに幼き日日を懐かしみをり

孫娘の嫁ぎゆきたる淋しさよ空しさ残れど幸せ祈らむ

白鷺は池の中にも飽きたるらし木の天辺に悠然とをり

辛抱して買ひしストーブなかなかの説明書きに気も疲れをり

身のまはり片付けたいと思へども落葉のやうには掃き捨てがたし

トラクターを洗ひながらに子は土が相手では負けるときれいにならぬと

暑き日の一日終わりて疲れしに心の糧にと求むる新聞

遠住めど研修の帰りと孫娘元気な笑顔で名物土産に

曾孫の写真またまた見てをりぬわれに活力呉るる宝よ

 清田三智子作品集