ひつそりと草叢の中にどくだみの白き花咲く梅雨のはしりに

かまくらで熱い甘酒ふうふうと飲み干す子らに重ねる昔

雪積る双子山にも遅き春真紅の椿の蕾ふくらむ

「イズミ」にて好きな餅菓子籠に入れ裏書き見てはまた元に置く

軒下に連なる柿も黒くなり宙に浮きをり算盤の玉とも

焼く煮付ける刺身にフライと幅広くさんまは正に旬の食べ物

四季ごとに彩うつろへる山里よ猪熊共にこの地に生きむ

鈴なりのゴーヤもそろそろ食べ飽きて酒の肴にと天麩羅にする

稲刈りを済ましし田にも青芽伸び続く暑さにせみの大声

今日もまた夕餉の支度に孫の顔思ひ浮かべて肉ジャガを煮る

柔らかき筍全て猪に掘られて食はれて我らは食へず

 山中みどり 作品集